物思いにふける秋。あなたの“記憶”と結びついている本は何ですか?
あなたに、大切な香りの記憶はありますか?

豪華作家による「香りと記憶」のアンソロジー

「香りと記憶」をテーマに、人気作家8人が独自の世界をつくりあげる短編小説集。木の香りに惹かれている宮大工修行中の青年との不器用な恋を描いた「アンタさん(阿川佐和子)」や、ガムの香りに未だ知らぬ世界を感じる「父とガムと彼女(角田光代)」、男のジャケットの匂いに、幼い頃の夢の記憶が浮かぶ「夢の香り(石田衣良)」など、それぞれが描く「香り」にも個性が光る。ノスタルジックな気分に浸りたい、深秋の夜に。

阿川佐和子、石田衣良、角田光代、熊谷達也、小池真理子、重松 清、朱川湊人、高樹のぶ子著/文藝春秋/952円(税抜き)

失われた時を求めて<1>第一篇 スワン家の方へ<1> マルセル・プルースト著/鈴木道彦訳/集英社文庫ヘリテージシリーズ/930円(税込み)

「無意志的記憶の想起」の代表作

ある花の香りを嗅ぐと特定の場所が思い出されるなど、嗅覚がキーとなっている記憶の想起を「プルースト効果」という。そのきっかけとなった小説がマルセル・プルースト作の本書である。ある冬の日、何気なく紅茶に浸したマドレーヌを口に入れたとたん、幼年時代を思い出す主人公。第一次世界大戦前後の世相とともに綴られる全13 冊の長編。

ことばの食卓 武田百合子著/野中ユリ画/筑摩書房/672円(税込み)

日常を味覚と共に切り取ったエッセイ

ありふれた日常と、そこに登場する「枇杷」「キャラメル」「オムレツ」といった、ありふれた食べものたち。その味や匂いが呼び覚ます記憶は、目前にありありと浮かぶ光景が情感を持ちつつも 、どこか寂寞とした孤独や死を含んでいる。作家、武田泰淳夫人である著者が、舌の伴う記憶を鋭い感性で切り取ったエッセイ。

パコと魔法の絵本 関口尚著/幻冬舎/520円(税込み)

思いやりを忘れた大人のための童話

事故によって脳の一部が損傷し、記憶が一日しかもたなくなってしまった少女の心に、明日も残る記憶を作ろうと奔走する大人たちの物語。少女が大切に持っている絵本と、純粋な彼女自身に触れることで、大人たちは自分を見つめ直し、優しさを取り戻していく。寒くなりゆく季節に、心がほんのり温まる大人のためのおとぎ話。

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11月号 Contents

特集

とっておきの秋を求めて おいしいものに出会う紅葉ドライブ

今宵のワインを楽しむこの逸品

連載

都会をエスケープ 憂き世を離れて 二人で愛でる東京の秋

肉のうまい店・魚にうなる店 しっとりとした口当たりと後味のコク マグロの味わい深さを感じる江戸の鍋

新刊探訪 物思いにふける秋。あなたの”記憶”と結びついている本は何ですか?

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